気管支形成術

肺がんに対する気管・気管支形成術とは

肺がんに対する根治手術はがんが占拠する肺葉を切除することです。しかし、肺がんが気道やその近く、また、肺動脈に接して出来た場合、片肺全部の切除(全摘術)が必要になることがあります(図1)。

片肺となった場合、日常生活に支障をきたすことがあったり、また、もともと肺機能が悪い場合は手術が適応されないこともあります。このような肺がんに対して、根治性を確保(がん病巣を完全に切除)し、かつ、可能な限り肺機能を温存して術後の生活の質(QOL=クオリティ・オブ・ライフ)を維持出来るように考案された手術が気管・気管支形成術です。この手術は、がん病巣が残らないように術中に切除断端の顕微鏡検査(術中迅速病理検査)を十分に行うこと、また、口径差のある気管・気管支の血流を維持し緊張を緩和した状態で吻合したり、温存する肺への血流を確保するため肺動脈形成術を併用する場合があったり、高い技術が必要です。

当科では、以前よりこの手術を行ってはおりましたが、最近では特に、根治性を維持することを最優先しつつも術後の生活の質に考慮した本術式を積極的に取り組んでおります(図2、3)。

図1

気管・気管支形成術の過程

図2 気管支・肺動脈形成術

気管支・肺動脈形成術

図3 気管分岐部形成術

気管分岐部形成術