当教室では、これまでに、肺がん患者さんの腸内細菌叢(マイクロバイオーム)や、肺がん微小環境における各免疫細胞が、どのように肺がんの抗腫瘍免疫応答に関わり機能しているかを研究して参りました。普段診療している肺がん患者さんや、今後の肺がん診療の役立てる様に、日々基礎研究に励んでおります。

基礎研究の一例をご紹介します。
肺がん微小環境における腫瘍関連マクロファージ(TAM)は、がん細胞の働きかけよって、抗腫瘍作用のM1 TAMから腫瘍促進作用のM2 TAMに変化します。がん細胞が出すMCP-1という物質を抑えることで、M2 TAMへの変化を抑え、肺がんの増殖を抑制することを示しました(Yo Kawaguchi, et al. Cancer Sci 2023.)。

Nimesulideという薬剤がMCP-1抑制作用を持つことを確認し、その投与は、マクロファージがM2 TAMの指標であるCD206を発現するのを(M2 TAMに変化するのを)抑制しました。

マウスの実験で、Nimesulide投与によるMCP-1抑制は肺がんの増大が抑えられることを確認しました。肺がんにおけるマクロファージ(F4/80)に対するM2 TAM(CD206)の割合が減少しており、M2 TAMへの変化を抑制していることを示しました。
当教室では、現在以下の研究費助成を受け、基礎研究を行っております。
体内細菌叢クロストークによる免疫調整を介した肺癌免疫療法治療奏効メカニズムの解明(2026.04~2029.03)
制御性T細胞を標的とした肺がん術後再発予防戦略(2026.04~2029.03)
肺がん微小環境におけるCystathionine γ-lyaseの機能解析と治療法の開発(2025.04~2028.03)
好中球細胞外トラップを介した、肺がん術後再発メカニズムの解明(2025.04~2028.03)
好中球エラスターゼに着目した肺腺がん進展機序の解明(2025.04~2028.03)
骨格筋以下因子ミオスタチンを標的とした、肺がんサルコペニアに対する治療開発(2022.04~2026.03)
肺がん免疫療法におけるFeNOを用いた非侵襲的リアルタイム治療効果予測法の開発(2022.04~2026.03)
※以下リンクより、「滋賀医科大学 呼吸器外科」と入力し「検索」ボタンをクリックすることで、過去の研究につきましてもご確認していただく事が可能です。
上原記念生命科学財団 細菌叢クロストークによる肺癌免疫療法奏効機序の解明(2026.03~2027.04)
中冨健康科学振興財団 アクチビンによるがんサルコペニア誘導メカニズムの解明と治療法の開発(2024.04~2026.03)
SGH財団 肺がん手術後に増加する単球を介した転移再発メカニズムの解明と周術期治療への応用(2024.11~2026.10)